11月11日「介護の日」にちなみ、なら介護の日では介護について理解と認識を深める活動・イベントを行っております。

親守唄・歌会2021 入選作品集

≪親守唄大賞受賞≫ 押させて下さい車椅子 安井孝夫 登坂正夫
≪親守唄優秀賞≫ 母のやる気スイッチが入った 白井時子
≪審査委員会特別賞≫ 僕の母さん 小倉昭
≪入選≫ リハビリの父さん 細江隆一
≪入選≫ 彼岸花 赤司一博



≪親守唄大賞受賞≫ 押させて下さい車椅子(作詩・作曲の部)
作詩/安井 孝夫(千葉県木更津市/77歳)
作曲/登坂 正夫(群馬県桐生市/72歳)


桜がハラハラ 舞い散るなかを
両手広げて はしゃぐ母
解りますとも 解ります
黙っていても 解ります
笑顔は 私の 宝物
押させて下さい 車椅子

命を削って 育ててくれた
忘れませんよ あの匂い
重い荷物は 捨てましょうね
我慢しなくて いいんです
いつでも 私が 傍にいる
押させて下さい 車椅子

季節が記憶(おもいで)さらっていくよ
せめてひと時 夢の中
子守唄(うた)をうたって あげるから
夢の続きを 見ましょうね
せめても 私の 恩返し
押させて下さい 車椅子

桜がハラハラ 舞い散るなかを
押させてください 車椅子

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≪親守唄優秀賞≫ 母のやる気スイッチが入った(作詩の部)
作詩/白井 時子(兵庫県伊丹市/58歳)

母が この頃 元気になってきた
かぶれた自分の足に
お薬を塗ってと言っても
おっくうがってしない
そんな母に ある日
お出かけ前に お化粧をしてあげた
ある日 気付いた
母は 疲れていた
私も お化粧をしていなかった
二人とも お化粧をした
十才くらい若く見えると母をほめた

母は
その日から おっくうといいながら
時々 お化粧をしだし
お出かけモードに
スイッチが入るようになって
チャリーン 変身なのだ

母の変身
お出かけモードスイッチは
他にもある
お話をすること
お友だちと たまに
電話でお話ができた時は
チャリーン 元気が出てくる

母は その日から
お薬を塗るのも
しんどいくらいだったのに
腰痛のためにも 自分で湿布をはって
痛み止めの薬を きちんと飲み始めた

痛みに負けず 動きだすようになった
家事モードにも スイッチが入り
洗たく 料理 片付け がんばっている
お出かけも 増えた

痛み止めの薬は あれほど嫌だと
飲み忘れてばかりいたのに
ただ お薬が効きすぎて
母に ストップをかけるのが大変

「母さん 無理しないで 無理しないで」
痛い腰痛を
今より悪くならないように
できない所は ホローするよ
私がいるから

私は そんな
元気ペチャンコを脱出しそうな母
うつに なりそうだけど
できる家事だけは
がんばっている母に
「お母さん ガンバっているね」
「お母さん 無理しないでね」と
声をかけ続けている

少しでも 健康に近づくように
できる限り おだやかに
日々過ごせるようにと願っている

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≪審査委員会特別賞≫  僕の母さん(作詩の部)
作詩/小倉 昭(奈良市/99歳)


週に一度 見る度に
小さくなって行く
「僕の母さん」を見るのは辛い
帰郷する時
いつも迎えに来てくれた
寒い日も 暑い日も
薄暗い駅の改札口の電灯の下で
隠れるように待っててくれた
「お帰り 疲れたやろ」
嬉しそうな笑顔
思い出すなあ 母さんの笑顔
「僕の母さん」

小学生の頃 身体の弱かった僕
いつも背負って医者へ通ってくれた
母さんの背中の匂い 忘れない
「僕の母さん」


僕の吹くハーモニカをききながら
大きなお煎餅を
そのまま口で割って食べていた
子供のような仕草
眼の底に焼き付いている
思い出すなぁ 涙が出てくる
「僕の母さん」

学生の頃の成人式の日
「母さん」やめて 「母」と言え
君は忠告してくれた
分っているけど
僕は幾つになっても
「僕の母さん」

大阪で就職したのが間違いだった
長い間 独りで淋しかったね
僕が大阪へ出発する日
泣いてたね 僕も泣いてしまった
来年帰って来る準備もできた
もう大丈夫
これからは 毎日 一緒に
楽しく暮らそうね
楽しみにしてる
「母さん」
「僕の母さん」

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≪入選≫  リハビリの父さん(作詩の部)
作詩/細江 隆一(岐阜県加茂郡/53歳) 

父さん今日もリハビリを
今か今かと心待ち
一日一回不定期に
リハビリ時間やってくる
父さん早くにスタンバイ
車椅子にも乗っている

バーにつかまり歩き出す
一歩一歩はゆっくりと
途中で転び立て直す
決して歩みは止めてない
母さんとともに買い物を
夢見て歩くリハビリ室

父さん今日もリハビリを
疲れた体横たえる
忽ちいびきかいている
わたしも母も笑ってる
へとへとになり疲れても
父さんリハビリ続けてる



バーにつかまり歩き出す
一歩一歩はゆっくりと
途中で転び立て直す
決して歩みは止めてない
好きな旅行は母さんと
夢見て歩くリハビリ室

父さん今日も歩き出す
補助は要らぬと断って
自分の足で踏み締める
バーにつかまり一歩ずつ
「亀の歩み」と言う奴へ
見てろオレをと言いたげよ

リハビリしてる父さんに
感動しつつ エールを送る
励まされている私たち

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≪入選≫  彼岸花(作詩の部)
作詩/赤司 一博(長崎県佐世保/65歳)

あの日母さんと 行った思い出は
今も心の 中で生きています
もう戻れないけれど あの日の声は
優しく語りかけ
聞こえてくるようで
ありがとうねと もう一度
伝えたかった 彼岸花

あの日母さんに すごく叱られた
そして母さんも 涙ながしてた
もうほっといてよ 冷たく言った
一人で生きて行ける
あの頃思ってた
心配ばかり かけたねと
伝えたかった 彼岸花


もしも母さんと もう一度会えるなら
心残りの 親孝行 させてください
おもいっきり いついつまでも
照れて言えなかった
旅立って行く日に
母さんの子で よかったと
伝えたかった この気持ち

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